【灼熱カバディ】全キャラに触れる感想・奥武高校編【山田駿/ヴィハーン/霞冬居】

漫画・映画・ゲーム

奥武高校

前回は能京高校、そして今回は奏和…
と見せかけて奥武高校。
なぜなら読み返したのがこの辺りだったから。

山田駿

凡人
だけど、閃きにより天才と同じ土俵に立ち続けた人間。
閃き次第では、高校トップの不破とも戦える。

六弦からも不破や神畑と同じ強者認定されている。
作中最強格のインド戦でもスタメンを張っていた。

…この時点で、山田も凡人を逸脱した存在だと思うのだけど、
世界的に見たら凡人、というのもわかる。

なお、この作品を読んだ人なら共感してもらえると思うけど、
ガチの凡人が不破に100回挑んでも勝てる気はしないので、
閃き次第で互角になれる山田には、やはり才能はある。

何より、「天才には勝てない」と自覚しながらもコートに立ち続けるメンタリティこそが、平凡なものではない。

わかりやすいスペックこそ無いが、山田は自分を過小評価し過ぎでは。
実績と理論、そしてコミュ力の高いアイデアマンということもあり、
監督やコーチになっても有効に機能しそう。
というか、外園と山田、右藤あたりは選手を管理する側に回っても有能そう。

作中ではかなり悲壮な面が目立った奥武戦

特に山田は、「天才との差」と、「ヴィハーン」の2点で悩み続ける事となる。
作中でもトップクラスに重い。
あっけらかんとしていて陽気なキャラなのに、そのギャップも印象的だった。

特に、山田の

閃きが枯れていく

「自分が上達してしまった事で、天才との差をより解像度高く思い知ることになる」

「それでも両手いっぱいの言い訳を抱えて」

というのは、共感した人は多いのでは。

自分の努力だけではどうしようもなく、目標を下方修正せざるを得ない人間は多くいるはず。

それなりに努力もした、故に結果も多少は出ている。

だけど、トップ級と比較するとまるで超えれる気がしない。

一握りの人間以外が感じる悩みだと思う。

そんな中で、山田が「地獄行き」を決めた瞬間は本作屈指の名場面。
良いシーンだマジで。熱い。
あの話には100億回「いいね」を押したい。

ちなみに閃きを武器とする山田と、引き出しを武器とする右藤は似ているが、厳密には異なる。

山田はアイデアを自分で生み出す
故に、どんな危機的状況でも対応できる可能性はある。
どんな状況でも勝ち筋を作る力に長ける。

右藤は他人からアイデアを持ってくる
事前に用意したアイデアの分だけ対応できる範囲は広がるが、
その範囲外のケースに遭遇するとその時点で詰みかねない。山田と比べると閃く力は少ないため、全ては事前準備にかかっている。
山田と違い、負け筋を減らす能力に長ける。

ヴィハーン

重い
周囲に期待を持たせてしまったが故の苦悩。

もはや自分一人の問題ではない。

仲間やコーチ、戦った相手を含め、「自分が結果を出せるかどうか」が多くの人間に影響を与えることを自覚してしまっている。

ヴィハーンにとってはもはやカバディこそがアイデンティティ。
「もしこのまま何も結果を出せずにずるずるといったら…」と未来への不安も相当大きかっただろう。

MVPを獲ってしまったが故に、「辞める」と言う選択肢も取りづらい。
何より、貴重な若い時代の大半をカバディに捧げてしまっている。

周囲の期待をこれ以上裏切らないために、自分のカバディ人生を強制的に終わらせようとしたのかもしれない。

楽しい」からやっていたカバディは、いつしか強迫観念と責任感により締め付けられるように。

だけど、

山田との出会いや王城・宵越との戦い、そして世界組からのアドバイス(カウンセリング)によって、
彼は全盛期を超えることになる。

「全盛期を超えた」というのがポイント。
つまり、高校以降やってきた努力も身には着いていたのだ。

基礎的な技術はまだまだ改善の余地があるのだろうけど、
それでも練習により培ってきた筋力や動きは間違いなく実になってる。

あと、ヴィハーン本人が「コーチの言うことは正しかった」と回顧しているのもポイント。
そうなんだよな、コーチの言うことも真っ当ではあったんだよな。

神が教えてくれるのだ」な天才にはたまたま当てはまらなかっただけで、
99%の人間にはコーチの指導はぴったりハマった筈。

そういう意味では、ヴィハーンもコーチも巡り合わせの妙があった部分もある。

ヴィハーンと山田はそれぞれ、
最高の選手」と「最長の選手」になる。

強くなる才能と、続ける才能
それぞれを持った二人。

いや、山田に関しては、「諦める才能が欠落していた」のか。

何を言いたいかと言うと、
プロ編が見たいです先生。

霞冬居

悲壮な印象のある奥武戦のMVP
このキャラがいたおかげで、ある程度明るくコミカルに見る事が出来た。
ビビりキャラというのを差し引いても、
ちゃんと全力でビビってくれるのが気持ち良い。

そうだよな、王城も宵越も、意味わかんない動きしてるよな…

こういう、主人公チームを相手視点から見てみると「あれ、ヤバくね」ってなる描写は大好物です。

あと、山田に再起してもらうために自分がプロ入りしようとしてたのはびっくりしました。

直接「諦めるな」とは言わないけど、間接的に再起を促す方法。
冬居がプロ入りすれば、「冬居に追い越されるのは嫌」な山田は追ってくる。
山田がプロ入りを狙う「言い訳」を作るという、
山田との関係性があるからこそのやり方。

おいおい、エモいじゃねえか…!

まとめ

というわけで奥武戦は思ったよりも重い内容、相手キャラ二人の挫折が描かれたお話でした。
好き嫌いはあると思う。
でも、私は必要な話だし、何度でも読み返したい(※読み返してる)お話でした。

次回は今度こそ、奏和に触れます。
……多分。

コメント

タイトルとURLをコピーしました