あえて言うが、
「気まず笑」はひとりよがりの言葉であり、禁止カードにすべきである。
大前提として、「気まず」と思っているのは発言者だけで、
他の人は気まずいと思っているかどうかが不透明だ。
Aさんが「気まず笑」と言ったその場の空気は、
Bさんは「私はこれくらいの空気がいいけどなぁ」と思っていたかもしれないし、
Cさんは「次はなにを喋ろうかなぁ」と考えていた思考の間かもしれないし、
Dさんは「『気まず』って言っちゃうとみんなに失礼だから、それを言わずに盛り上げるぞ!」と思っていたかもしれない。
しかし、Aさんの「気まず笑」の一言で、場の多くの人達に
「えっ、今って気まずいんだ」
「自分のせいなのかな」
「Aさんが満足する程度に何か喋らないといけないのかも」
などと気を遣わせる可能性を生む。
要するに、「気まず笑」と言ったせいで本当に気まずくなってしまうのである。
とはいえ、人によっては「『気まず笑』ということで、その場が盛り上がった経験がある!」という人もいる。
ただ、それは「気まず笑」の受け手である周りの人たちが上手くレスポンスしている結果であることが多い。
そして、周りの人に「気まず笑」のフォローをさせて、その様子を見て「盛り上がった!」と言っているのは、あまりにも投げっぱなしだと言わざるを得ない。
「気まず笑」と言ったAさんにこれ以上何も言わせないために、気まずくならないようにフォローしているだけである。
そして、そもそもなぜAさんの望む空気感を私達が作らなければならないのか、というところも反感を買いやすいポイントである。
Aさんの望む「気まずくない空気」を作れていないなら、それはAさんの責任だろう。
Aさんにとっての理想の空気感なんて、周りの誰も知らないのだから。
「気まず笑」の効果
そもそも、なぜ「気まず笑」が特別に場を打開出来ている、という印象を生むかと言うと、
「気まず笑」の裏には、
「今無言で気まずいぞ」「お前ら喋れよ」という無自覚な脅迫が込められているからである。
そりゃレスポンスは返ってくる。「喋れよ」と暗に言われているようなものなのだから。
「Aさんに更に『気まずい』と言われると余計場が気まずくなるから、Aさん以外の人のためにとりあえず何か喋らなきゃ」
「私のせいで気まずくなってるのかな、もっと喋んないと」
などと感じた人が、気を遣って喋りだすケースがあるということだ。
「いやいや、でも、たとえそうであっても、場が盛り上がってるからいいじゃん!」という意見もある。
だが、それは記事の最初の意見と同じだ。
「『気まず』の影響で、みんなの口数が増えたこと」を喜ばしいと思っているのはそれを言った人間だけで、他の人の心境は十人十色、ということだ。
とはいえ、「気まず笑」を完全に非難したいわけではない。
他の言葉では盛り上がらず、
「気まず笑」だからこそ盛り上がったというケースも恐らく存在する。
しかし、やはり無闇に使うべき言葉でもないと私は思う。
実際、私も「気まず笑」と言われると、
「え、私達が悪いの?」と思ったり、
「言うなよ、それを言わずに頑張って盛り上げようとしてるんだから」と思ったり、
「場を打開するにしても、もっと良い言葉選びあるだろ」とか思ってしまう側の人間だ。
つまり、記事タイトルにある通り、「気まず笑」は禁止カードにすべき、というのが私の考え。
しかし、それは「公式大会では使うべきではない」というだけで、
「この禁止カード使ってもいい?」と確認を取り合えるような関係性のある身内同士なら、「気まず笑」を使うのも良いと思う。
人や関係性によって失礼のラインは繊細に変わる。
友達や家族相手なら叩ける軽口を、取引先相手にぶつける人間はいないだろう。
そして、「気まず笑」は、「こいつ、何様なんだよ」「そんなん言われるとかえって気使うわ」などと相手にマイナスの感情を与えやすい言葉である。
使用の際は注意しておいて損はない。
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