「岸辺露伴は動かない 懺悔室」主な感想
原作部分は良かった。不気味。面白い。
岸辺露伴シリーズに見られる「神聖な不気味さ」は本作も健在。
特に懺悔室周りの何とも言えない空気感は素晴らしい塩梅。
ポップコーンの場面は白眉
原作にあったポップコーンの場面は、本作の中でも随一のアクションシーン(?)。
結末を知っていても面白い。
俳優さんの熱演が光る。特に顔の動き。
グロいシーン有り。注意
直接的に見せてこないだけで、音や表現がしっかりグロい場面はあるため、苦手な方やお子さん連れは要注意。
グロい、生々しい。
これまでの岸辺露伴シリーズの中でも一番エグめ。
原作以外の追加部分は、個人的には微妙
懺悔室まわりの回想シーンや雰囲気は良かった。
つまり、原作部分はとても良かった一方、
それ以降の追加ストーリーは個人的には微妙。
原作自体、一本の映画にするには尺が短く、主役の岸辺露伴ががっつり絡むわけでもないため、
追加ストーリーはその辺りを補完する役割を担った。
……わけだが、正直微妙に感じた。
ちなみに私はジョジョ原作や岸辺露伴シリーズは全て購入し読んでいる、一応ジョジョファン、岸辺露伴ファンなのだけど、
その贔屓目抜きにしても蛇足感はあったかもしれない。
追加ストーリーの感想は一言でいうと、「映画として成立させるための、要素の集合体」に感じた。
原作部分に不足していた岸辺露伴&尺を補うための後半ストーリー。
細かく見ていく。
要素の必要性・説得力が薄い
まずは、露伴が幸運に取り憑かれる理由や、幸運バトルの存在意義。
この辺りは、「なぜそれが起こるの？」「なぜそれをする必要があるの？」という、意味の説得力が欠けていたように感じた。
正直、この辺りは「なんとなくで理解」に留まる人はかなり多いと思う。
勢いで見続けるけど。
その辺りの荒さもジョジョらしいと言えばジョジョらしいが。
それに、なんとなく理屈はわからないでもないが、「物語上いる？ このパート」という思いはある。
偽装死亡の意味が無い
「娘が幸せの絶頂の時、あんた(父親)に絶望を味合わせてやる」
↓
娘の偽装死亡
↓
「これで呪いは終わるね」
一見わかる気もする。
が、実は筋が通っていないように感じる部分。
父親が絶望して呪いが解ける要因を露伴側で用意しておいた、ということだが、
でも結局それは、呪いと関係ないところで絶望する要因を作っただけで、
「いや、俺が用意した絶望じゃないからノーカンで」と呪い側が判断する可能性が高い。
実際、父親に呪いは付き纏い続けている。
また、そもそも、娘が亡くなってもあの父親は大して絶望していない。
もちろん深い悲しみは負ったかもしれないが、「絶望」するほどかというと、そんなことはない。つまり、偽装死亡作戦自体、意味がないのだ。
……というのは、父親の普段の言動を見ていれば誰でも理解できる筈。
「娘も大切に思ってるかもしれないが、結局自分の方が大事なのだろう」と。
つまり、あの偽装死亡劇をやる意義は何一つないし、現実でも何一つ変わっていないのだ。
娘をそれほど大切に思っていない父親に対してこの作戦は有効とは思えないし、
実際大して絶望していないし、
そもそも呪いによって用意された絶望でもないため、根本解決もしない。
一つ変わった事があるとすれば、娘が偽装死亡により「父親の呪縛から離れられた事」……と思いたいところだが、そうはいかない。
なぜなら、偽装死亡によって誤魔化せるのは結局のところあの瞬間だけで、
少し時間が経てば娘が生きていることは父親にも知れるはず。
女性が銃で撃たれた事件に関するニュースが一向に流れない、
娘の死に関する知らせが親族へ流れない、
父親がネットで娘や夫の名前を検索した、
街で偶然見かけた、
などなど、後からできる気づく理由はいくらでもある。
というか、父親が冷静になった後、一応娘の安否を確認するはず。あの場ですら、死んだかどうか断定できなかったのだから。
あれだけ徹底的に呪い対策をしていた男だ、
「呪いが解けてないのは、本当は娘が死んでないからでは？」と逆説的に考えて、後から改めて調べる可能性だってある。
それに、あれだけ生に執着している父親なのだから、「旦那側による報復」も怖いだろう。
『自分の用意した殺し屋によって、奴の妻は死んだようなもの。というかそもそも、殺し屋のターゲットは娘では無く旦那の方だったわけで。つまり、あの旦那に恨まれる理由はいくらでもある』と、父親は考えていてもおかしくない。
旦那の報復を恐れ、旦那の近況を調査しようとしたら普通に隣に娘がいて、
「あれ？ なんか普通に娘生きてね？」と安否が発覚する可能性だってある。
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