“蛙化現象”とは
「好意を抱いている相手から自分に好意を向けられた途端、その相手に対して嫌悪感を抱くようになる現象」のこと。
好きな相手からの好意がきっかけとなり、相手を気持ち悪く感じたり嫌悪するようになる、ということです。
本来好きだったはずの想いが一転、嫌悪感を示し受容できなくなるという“当初とは全く異なる感情に変化する”点が特徴的であり、
このことが現象名の由来にもなっています。
“最初は嫌悪していたはずのカエルが、実は美しい王子で…”という点から。
なお、“蛙への嫌悪→王子様への好意”という流れだったかえるの王さまとは逆の“王子様への好意→蛙への嫌悪”という流れになることから、“蛙化現象”と呼ばれるようになりました。
“蛙化現象”と“幻滅”の違い
なお、「“蛙化現象”と“幻滅”を混同してしまっているのではないか」という声もあがっています。
上述した通り“蛙化現象”とは「好意を抱いている相手から自分に好意を向けられた途端、その相手に対して嫌悪感を抱くようになる現象」のことです。
一方で“幻滅”とは、「幻想からさめること。美しく心に描いていた事が、現実には幻に過ぎないと悟らされること」を指します。
“蛙化現象”とはあくまで、好きな相手からの好意がきっかけに、相手を気持ち悪く感じたり嫌悪するようになる現象を指すものであり、
それ以外がきっかけとなって起こる感情の変化は“蛙化現象”に該当せず“単なる幻滅”という扱いになるのではないか、との意見が上がっています。
例えば、相手のミスや汚れが気になったり、相手のダサい言動に引いたり冷めたりするといったものは“幻滅”であって、
“蛙化現象”には該当しないのではないか…という意見が上がっているわけですね。
一方で、現在は“幻滅した”という意味で“蛙化現象”という言葉を用いている人も多く、
また「“蛙化現象”という言葉には、幻滅という意味も含んでいる」との声もあります。
このように人によって認識が微妙に異なるため
“蛙化現象”を話題に出す際は念のため意味の擦り合わせを行い、誤解を招くことがないようにしておきたいところです。
“蛙化現象”が起こる要因として考えられているもの
相手からの好意をきっかけとして起こる心理的な機微・変化を指す“蛙化現象”ですが、
これが起こる要因は主に「自己肯定感の低さ」「アイデンティティの確立が十分でない」といった要因が挙げられています。
それぞれを詳しく見ていきます。
自己肯定感の低さ
自己肯定感の低さ由来の蛙化現象として例示されているのが、以下の流れ。
①相手からの好意が発覚
②「人間的な価値や魅力が低い自分を好きになるなんて」
「女性なら誰でもいいんじゃないか?」
「本当の自分は醜いからそんなものは表に出してないのに好きになるなんて、相手は自分の何を好きになってるんだ?」
③相手に対する嫌悪感や不快感を抱く
上記のような流れで、“蛙化現象”が起こっているのではないか…とする意見です。
未熟なアイデンティティ
また「アイデンティティの獲得が不十分である」との意見もあり、
これに関して参考にしたいのが“アイデンティティのための恋愛”という考え。
心理学研究の大野久さんが主張したもので、このテーマを軸に私なりに考えていきます…が、もし解釈違いや気になる点等ありましたら、コメントや問い合わせフォームから遠慮なくメールを送っていただけると嬉しいです。
アイデンティティのための恋愛とは、“自分のアイデンティティを構築したり、価値を確かめるための恋愛”。
自分のアイデンティティ構築のために、恋愛を通じて「私のこと好き?」と聞くなどして価値を確かめ、相手からの賛美を得てアイデンティティを構築していく、というもの。
しかし肝心のアイデンティティは相手からの評価に依存しているため、自分の本質的な部分には自信を持てないまま。
また、アイデンティティが確かでない状態のまま相手と親密な関係になった場合、うまく相手と関わることができず、コミュニケーション不和に。
自分に自信がない状態の上に相手ともうまく調和できず、コミュニケーションが思うようにいかず、その結果“自分”を失うのではないか…と恐れを抱く場面も出てきます。
故に、“アイデンティティのための恋愛”は長続きがしにくい要素が多め。
“アイデンティティのための恋愛”の個人的な解釈の一例は以下のような流れ。
①「自分の価値を確かめたいから、いっぱい褒めてもらいたい!そのために恋愛をして、好きとか言ってもらおう」
「うーん、最初は良くても次第に話題がなくなってきたな…『好き?』とか聞くだけじゃ限界があるか…
自分の価値を確かめるためにやってる恋愛だから、別に相手にどうとか話すこともないし…」
「重たい無言の時間や、喧嘩の時間も増えてる…思うように話せてない…
別れを切り出されて、相手に離れられるかもしれない…それは流石に自分のアイデンティティ崩壊する…」
「やっぱり別れることになってしまった…」
上記の流れが、「アイデンティティのための恋愛」では起き得る感じ。
なお、実際のケースでは本人は本気で恋愛をしているつもり、
つまり“自分のアイデンティティ確立のために恋愛をしている”ことには無自覚的。
さらに上記の流れが続くと、
私はアイデンティティが未熟なため、恋愛を通じて自信を補強したい。
…と無意識に思っている。
しかし一方で、アイデンティティが確立していない状態で親密になった場合、
上記のような流れでコミュニケーション不和を引き起こしかねない。
…ということを無意識に予想出来てしまう。
怖い。
自分のアイデンティティを確かめるつもりが、むしろそれを失うような事態になりかねない。
故に、あまり親密な距離感になることは避けたい。
…と無意識に思っている。怖い。
結果、“蛙化現象”を起こす。
という流れで、蛙化現象につながる可能性も考えられます。
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