【ミステリー(推理)】おすすめの叙述トリック小説12選をご紹介【2024/なんj】

ホラー・ミステリー

叙述トリックモノ

ミステリー小説には「叙述トリック」と呼ばれる技法が存在します

物語の一部情報を作者が意図的に伏せ、読者に事実を誤認させるテクニックなのですが、

この叙述トリックにまんまと嵌められてしまう快感は筆舌に尽くしがたいものがあります。

さてこの叙述トリックを利用した小説は「どんでん返しがあると知らずに読む」のがやはり騙された際の衝撃が最も大きいのですが、

あらかじめ叙述トリックモノであると知った上で読みたい、という方もおられるかと思います。

そこで今回、私が特におすすめしたい叙述トリックモノをこちらの記事で紹介させていただきます。

慟哭


慟哭 (創元推理文庫)

【あらすじ】

連続する幼女誘拐事件の捜査が行き詰まり、捜査一課長は世論と警察内部の批判を受けて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。

こうした緊張下で自体は新たな方向へ!

幼女殺人や怪しげな宗教を題材として人間の内奥にある痛切な叫びを描破した本格長編。

上述している幼女誘拐事件への捜査を行う警察と、宗教の生態という2つの軸で物語は進められていきます。

果たして事件はどのような帰着を見るのか、

そして怪しげな宗教に魅入られた人間の末路とは。

読んだ後にまた1から読み返したくなること請け合いの一冊です。

ハサミ男


ハサミ男 (講談社文庫)

【あらすじ】

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。

三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。

自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。

「ハサミ男」は調査をはじめる。

猟奇殺人犯である「ハサミ男」とその事件を追う警察。

執拗に自殺を試みる「ハサミ男」とその際に必ず現れる「医師」との会話により、

残虐な事件を引き起こす殺人者の心の内が明かされていく展開は実に衝撃的。

「ハサミ男」の正体は一体何者なのか、

そして「ハサミ男」の手口を真似たという事件の真相は。

「ハサミ男」と「医師」の掛け合いも小気味良く、読ませる一作となっています。


殺戮に至る病


新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)

【あらすじ】

永遠の愛をつかみたいと男は願ったー

東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!

繰り返される陵辱の果ての惨殺。

冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどった衝撃のホラー。

一連の事件の犯人、「蒲生 稔」が緊急逮捕されるエピローグから全ては始まります。

永遠の愛を求めた「蒲生 稔」の人格面にスポットを当てつつ、凄惨な事件を中心に進行していく物語。

猟奇的な殺人事件はなぜ引き起こされたのか、そして事件の裏に潜む「蒲生 稔」の家族の苦悩とは。

グロテスクな描写こそ多いものの、そういった描写が苦手な方にもおススメしたいほど圧倒的な構成力、そしてメッセージ性を持つ一冊です。

十角館の殺人


十角館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫)

【あらすじ】

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける

孤島で繰り広げられる連続殺人事件をベースに進行していく本格ミステリ。

ひとり、またひとりと消えていくミステリ研のメンバー、

限られた登場人物の中で犯人は誰なのか、

皆さんも推理しながら読んでいただくとより楽しめることでしょう。

特に十角館の殺人といえば衝撃的な「とある一文」が有名ですね。

是非とも本書に触れその一文にまんまと驚かされて欲しいと思います。

迷路館の殺人


迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)

【あらすじ】
奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。招かれた4人の作家たちは莫大な賞金をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった! 
周到な企みと徹底的な遊び心でミステリファンを驚喜させたシリーズ第3作、待望の新装改訂版。初期「新本格」を象徴する傑作!

「館」シリーズの第3作。出来れば「十角館」を読んだ後にお読みいただくことをオススメします。

さてこの迷路館、十角館同様に連続殺人劇によってひとり、またひとりと登場人物が消えていくのですが、

読む者を鮮やかに欺く、それでいて大胆な叙述トリックは必見。

綾辻行人ワールド全開の本作は十角館と共に「館シリーズの顔」として、

ミステリー小説初心者の方にもオススメしたい一作です。



七回死んだ男


新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)

【あらすじ】

どうしても殺人が防げない!?

不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう、渕上零治郎老人。

「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。

孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは?

SF要素が取り入れられた本作は「何度同じ日を繰り返しても渕上老人が死んでしまう」という衝撃的なテーマを軸に描かれていきます。

久太郎少年がどうあがいても命を落としてしまう渕上老人。

どうすれば渕上老人を救うことができるのか、そもそもなぜ渕上老人は殺されてしまうのか?

「同じ日を繰り返す」という特殊なテーマを見事に生かした展開は読み応え充分と言えるでしょう。

イニシエーションラブ


イニシエーション・ラブ (文春文庫)

【あらすじ】

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて……

甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説。

あらすじに記されている通り、物語はとある男女の恋愛描写を中心に進められていきます。

「しかし叙述トリック系ミステリー小説というテーマなのに、なぜ青春小説を紹介しているんだ?」と思われている未読の方もおられるでしょう。

その謎を解き明かす意味でも、是非とも手に取っていただきたい作品です。

とはいえ初読の方は叙述トリック云々は一旦忘れて純粋な恋愛モノとしてお読みいただくと、

本書をより奥深く楽しむことが出来るはず。

葉桜の季節に君を想うということ


葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

【あらすじ】

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬政虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。

そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たしてー。

「射精したあとは動きたくない」という一文から物語は始まります。

あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は読み応え抜群。

主人公である成瀬政虎やその他登場人物との「青春」描写は、

悪徳商法の調査という物語のテーマの中で清涼剤としても機能しています。

性質上 陰鬱とした物語が多いミステリー小説の中でにおいて、

本作はどこか爽やかな感情を抱きながら読めてしまうのも魅力と言えるでしょう。


アヒルと鴨のコインロッカー


アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

【あらすじ】

大学入学のため仙台に引っ越してきた椎名は、奇妙な隣人の河崎に出会う。初対面だというのに河崎は、同じアパートに住む孤独なブータン人留学生に広辞苑を贈るため、本屋を襲おうと奇妙な計画を持ちかける。そんな話に乗る気などなかった椎名だが、翌日、モデルガンを片手に書店の裏口に立っていた……

椎名という大学生の現在の物語と、琴美という女性の2年前の物語が同時に描かれていくカットバック作品。

主人公の椎名と、「本屋を襲おう」という河崎の奇妙な出会いから全ては始まります。

広辞苑を贈るために本屋を襲おうという河崎の真意とは、

そして2年前に起きたとある事件が登場人物達に与えた影響とは。

見事な叙述トリックはもちろん、

登場人物同士の関係性が明るく、そして切なく描かれています。

オススメです

仮面山荘殺人事件


仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)

【あらすじ】

八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。

恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。

だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼になり、パニックに陥っていった…。

皆さんもご存知、東野圭吾作品の一つです。

「八人の男女が集まる山荘が外部との連絡を断たれて…」といういかにもな舞台で巻き起こるサスペンス。

一体誰が殺人を犯したのか、この物語はどのような解決をみるのか。

タイトルの「仮面」が何を意味するのかについても推理しながらお読みいただくと、

ある真相に辿り着くことができるかもしれません。

ある閉ざされた雪の山荘で


ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫)

【あらすじ】

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女七名。これから舞台稽古が始まる。

豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。

だが、一人また一人と現実に仲間が消えていき…?

こちらも引き続き東野圭吾作品。

「仮面山荘」同様、とある施設に7人の若者が集まり一人ずつ消えていく、というまさに王道ミステリとなっています。

叙述トリック、という括りにこそしてはいますが、どちらかというと「基本はこの設定で一本勝負するぞ」という作品。

使用されるトリックや真相もシンプルなものであり、作中でもしばしばヒントが出されるので途中で犯人に気づく人は多いかもしれません。

そのためミステリ初心者の方にもオススメできる作品となっています。


この闇と光


この闇と光 (角川文庫)

【あらすじ】

森の奥に囚われた盲目の少女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた。

はい、どのようにあらすじを表現すべきか悩んだ挙句非常に端的にまとめました。

レイアという少女と、その父である王、そしてことあるごとにレイアに冷たい仕打ちをするダフネというキャラクター、

この3人を中心となり物語は進められていきます。

「叙述トリック集」と銘打って紹介しているものの、この作品に関してはトリックというよりキャラクターの心情に注目していただくとより楽しむことが出来るかもしれません。

もちろん「真実」もそれはそれは度肝を抜かれるものですので、目の肥えたミステリーファンの方にもオススメの一作です。

最後に

さて、様々な叙述トリック作品をご紹介してきました。

とはいえいずれも「叙述トリックだけが魅力」という作品ではございません。

ストーリーや登場人物の掛け合いなど、見どころを挙げたらキリがないほど。

是非とも一度手に取っていただきたいと思います。

また、「こういう作品がオススメだよ」というお声があればコメントして頂けると嬉しいです。

というわけで今回はこの辺りで記事を締めます。

また次回お会いしましょう、さようなら。

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