作中でも異彩を放つキャラクター、本田貴一。
今回はこのキャラクター単体で深掘りしていく。
本田さん
狂気的な笑顔、漸進性過負荷の権化、価値基準は「生きるか死ぬか」、
死なないために限界まで準備をする、
良いプレイがあれば敵味方問わず感心し褒める。
インパクトあるビジュアルと言動、
高校から始めたにも関わらず世界組を差し置いて「星海の三番」を勝ち取る才能、
頭のネジがぶっ飛んだ価値基準など、
個性的なキャラが多い灼熱カバディの中でも異彩を放っている人物。
読者からの人気もかなり高いように思える。一体なぜ?
印象的な感動シーンがあるのか?
他キャラとの魅力的な関係性があるのか?
あるいは物語上で重要な役割が?
いやいや、本田さんにそんなものは存在しない。
本田さんは、キャラクター性「だけ」で人気を勝ち取っている。キャラの魅力だけで人気を得ているのだ。
本田さんは灼熱カバディの中でも、キャラ作りに大成功した例だと思う。
「漫画好き」にとっても非常に面白い存在。
色々と漫画を読んでいると、
「このキャラはあのキャラと因縁があるから、この後多分見せ場があるな」とか、
「このキャラはこのまま退場するわけないから、まあこの試合はこっちの勝ちか」とか、
メタ的な思考がよぎってしまうものである。
しかし、本田さんにはそんな思考は通用しない。
なにせ、伏線とか、他キャラとの因縁とか、そんなものが殆ど存在しないのである。
こういうキャラが暴れてくれると、予定調和をぶっ壊す存在として、見ていてワクワクする部分が大きい。
さて、本田さんで特筆すべき点は2点。
「ナチュラルサイコ」と「圧倒的才能」である。
まずナチュラルサイコな面から見ていこう。
ナチュラルサイコ本田
本田さんは何をするにしても「まずは生死」というぶっ壊れた価値基準を持っている。
色んなキャラから「ネジが飛んでいる」「恐怖や苦痛に対するネジが外れている」など、人格面は凄まじい言われよう。
だがそれも仕方ない。本田さんが登場するシーンでは高確率で「命」に関する言動や描写がされる。
本当にカバディ漫画か?
なお、王城に得点をされたシーンでは、「死んだ」と自分の死を受け入れ、いつもの笑顔から真顔になっている。
悔しがるでもなければ、奮起しようというわけでもなく、
ただただ冷静に、死を受け入れている表情。
つまり、本田さんは「自分を奮い立たせるために、適当に生とか死とか言ってる」わけではなく、
本気で、カバディを命のやり取りになぞらえている。
しかも、その後は後ろを向きながら「……」と無言で過ごすコマが2コマも描写されている。
もちろん後ろを向いているので本田さんの表情はわからない。こええよ
これも、自分は既に死んだ身だからこそ、「死人に口なし」ということなのだろうか。
相手を殺すつもりでプレイしているが、
自分がやられたとしてもちゃんと「死」を受け入れている。
本田さんはフェアプレイヤーなのだ。
ちなみに本田さんは子供の頃からぶっ飛んでいる。
それが描写されたのが、友達のチワワを「成長」させようとしたシーン。
正直、このシーンには色々な意味で衝撃を覚えた。
「犬が川で溺れかける」話がサイコエピソードに着地することなんてあるのか
ともかく、俺はここで「本田さん」呼びをすることを決めた。
だが、ただ価値基準がサイコなだけではない。
上述した通り、自分の死に直面するとそれを冷静に受け止める「冷静さ」さがあるし(それもかえって不気味だが)、
「山で父が命を落とした」というバックボーンもある。
本田さんが生死にこだわるのも、
父親の件が絡んでいる可能性は十分にある。
……生まれつきサイコな可能性も十分ある。
本田さんなら。
ちなみに、ヴィハーンと対峙している場面(「神も死ぬのかな!?」)の初見時は爆笑した。
高校から始めたのに世界組を凌駕する実力
「実力は世界組クラス」というのは作中でも明言されていて、
何よりあの星海高校のナンバー3である。
つまり、下手な世界組は既に追い抜いている。高校から始めたにも関わらず、だ。
才能は作中でも屈指と言わざるを得ない。
しかもただ才能があるだけでなく、努力量も凄まじい。
漸進性過負荷の権化、常に自分を限界に置き、全てを成長の糧にする。
更に恐ろしいのが、「まだ成長している」点である。
高校から始めて実質2年半程度、世界組を凌駕する実力を持ちながらまだ成長が止まらない。
凄まじい才能と凄まじい努力、そしてネジの外れた価値観。
これが本田貴一の実力を底上げし続ける。
また、センスもある。
「本田貴一は、無限にある選択肢の中から正解を掴み続けてきた」というナレーションがある。
つまりは、頭がキレるのか、感覚的に正解がわかるのか、恐らくは両方だろう。
漸進性過負荷の権化、本田さんは勉強面でも相当な努力しているはず。
過去回想で「一番、頭がいいのは?」と訊ねるシーンがあることから、恐らく冴木に追いつこうと知力の底上げも図っている。
本田さんは脳筋のように思えるが、恐らく勉強も機械的に点数を取れるタイプだと思われる。
それもこれも、「死なないための準備」ということだ。
本田さんは自分を「ただの人間」だと評している。
周りの人間は皆、本田さんのことを「ただの人間じゃない」「何だこの人、本当に人間か」などというが。
とはいえ、極端で大局的な価値観を持つ本田さんからすると、自分も他人も変わらない人間、ということなのだろう。
ちなみに初登場は、宵越と高谷による道場破りのミニゲーム。
この時は多少目がギョロギョロしてただけで、サイコ要素が少ない「ように見える」本田さん。
……ただ、最後のコマで謎の圧力を感じる表情を見せていたため、
この時点で本田さんのサイコ設定は固まっていたのかもしれない。
……という訳で、本田さんについて語りたいことは以上である。
星海高校編で改めて語ったりすると思うので、また見てもらえるとありがたい。
それではまた。
コメント