【ネタバレ注意】映画「ザ・ウォッチャーズ」感想

感想

良いところもある。

ただ、そうでないところも多い。

すこぶる微妙

色々と安易・陳腐

色々と分かりやすくしすぎて安易、陳腐、という印象。
その最たる例が冒頭のカーナビ。
そんなフィクション全開のバグり方をされると、こちらも「そのレベルのリアリティラインの話なの?これって」と少し醒めてしまう。

みんな受け入れまくり

特に事情を把握してもないのに、みんなあの生活を受け入れるの早すぎ。

最後の方、とある男と女が仲良くなってたけど、その根拠となる描写が少なすぎ。

主人公は最後、急に人間と妖精のあれこれを理解し、全てを受け入れている感じだったけど、そこも共感できない。

描きたい場面やストーリーありきで、そこに合わせてキャラクターを動かしている感じが所々ある。

あんまり怖くない

ここに尽きる。

「デカい物音がするとビックリはするんだけど、それって本当の意味で怖がらせてるということになるのか?」と考えている筆者からすると、
ホラーとしては全体的に微妙だった。

というか、そのデカい音すら不要。

例えば、後ろから肩に手を置かれるシーン。でも振り返ると、実は仲間でした、みたいな場面があるのだけど、
ここでもデカい音が使われる。

この手法、良くあるけど私はあまり好きじゃ無い。
なぜなら制作側の存在を感じてしまうから。

ボリュームの大小というのは明らかに制作側の意図によって決められる。
ということを観客側も理解しているので、
いたずらにボリュームを上下されると「ああ、こういう怖がらせ方したいんだな」とかえってさめてしまう。
しかもこの「よくある手法」を見せられるせいで、
更に制作側の存在を感じてしまう。

何より、肩に手を置く場面もそうだが、デカい音など必要ない。無音の方がよっぽど怖い。

また、登場するホラー要素が、ファンタジックだったり、既視感があるものが多く、「ホラー感のあるもの」ばかりだったので、

意味不明で不気味なものが好きな筆者からすると、少し好みからは外れていた。

ただ、監視カメラに「足だけ」映っている演出は良かった。
この作品の中でも特に好きだった見せ方。
あれは怖い。

ラストは蛇足

森を抜けた後、教授関連でもうひと展開があるのだが、ここが蛇足。
いや、ストーリー的に「ここで更なるどんでん返しが」的な意味合いが大きいのはわかるし、
伏線回収&物語にメッセージ性を込める、ということをしたかったのだろうけど、
それらを効果的に行えていたか、と言うと怪しい。

全てを説明的に明かすのではなく、匂わせる程度にして、「不気味な存在」のままにしておく方がホラー的には良かった。
あるいは、色々明かされた結果が「より不気味なものだった」という展開なら面白かったかもしれない。

ラストはホラーではなく、人間と妖精がそれぞれの道を歩き出すという展開となっていた。
こうなると当然怖くはない。
むしろ、未来はちょっと明るそうなエンディングにすら見える。

消化不良の描写たち

マデリンの意図は何だったのか、
観察が目的なら「殺す」までしちゃうのは何故なのか、
序盤の男の謎の陽気さはなんだったのか、
謎の薬草は何だったのか、
謎のテレビ番組のビデオは何だったのか

これらの設定や描写に対し、観客は常に消化不良感を抱きながら視聴する。

しかし結局これらはどつやら、「単にそれっぽい雰囲気にしたかったから」という理由で作られたものらしい。

別に、登場する場面の全てに意図がある必要はない。
その世界観を演出するための道具として使えば、それで良いと思う。
とはいえ、それなりに尺を割くなら、何かしら意図を持ったものでないと「もったいない」という話にはなってくる。

例えば、「テレビ番組のビデオ」は本当に何だったのか、意図を汲み取るのが難しい。
博士の名前を出すためだけの道具だったのか。

設定と描きたいことがちぐはぐで中途半端

前提として、この作品は二つの「設定」が混在している。

「森の中のガラスの部屋の中で、色々なルールを守りながら生き抜いていく」という一時期流行ったデスゲーム系の設定と、
「妖精関連」の神聖な設定だ。

その結果、かなり半端になっている。
複数の魅力ある設定が混在しているのが悪いわけではなく、
あまり効率よく描けていなかったのが要因だと私は思う。

尺の問題があるなら、
上述したようにもっと「意味のある場面」を作ればいい。
あるいは、
デスゲームの話単体でも、妖精の話単体でも、「面白かった!」と唸るような作り込みにすればいい。

尺が足りないなら、どちらか一方に絞って面白くすべき。

結論

印象的な場面はある。
良いところもある。
でも、半端な気がする。
色々な意味で。

意味を汲み取ることはできる。
だが、それだけ面白かったかというと話は別だ。

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