【ネタバレ注意】高橋一生版「ブラックジャック」感想【ドラマ】

感想

先に言っておくと、原作未読です!!!!!!!

故に、「原作とここが違うから微妙」みたいな評価軸ではありません。

では岸辺露伴…ではなく、ブラックジャックの感想を早速。

必要な箇所が現代化されておらず、不必要な箇所で現代化している

老人ホームに入ったら誰か止めろよ
せめて、職員がブラックジャックに一声かける描写くらい挟めよ。
セキュリティえぐいだろ。

事故現場でブラックジャックが色々やり出した場面でも、周りの医師やら警察やらが絶対に止めるだろ。
なんで止めないんだよ。

結果的にブラックジャックだったから事なきを得ただけで、
あれがただの危険人物だったらどうするんだよ。

とまあ、現実ではあり得ない対応にしているせいで、
視聴者サイドも「ああ、都合の悪いところは見ない作りにしているんだな」と冷めてしまう。

恐らくは、無免許医であるブラックジャックが活躍する場面を作るために、
他の登場人物のセキュリティ観念を「ザル」にしているのだろうが、
それ以外の方法がもっとあっただろ。

「漫画の実写化に、リアルの物差しを持ち込まなくても…」
「そんなマジレスしなくてよくね」という意見があがったりもするが、
面白いドラマは絶対にここを徹底している

視聴する上でのノイズは最低限除去するのが鉄則。何故なら入り込めないから。

もしかすると、原作を完全に再現した結果がこの演出なのかもしれないけど、
当時と比べて時代も変わっているのだから、
こここそ現代に合わせて調整すればいいのに

SNSやスマホの写真がどうのこうの、という「不要なところ」ばかり現代に合わせて調整するのではなく。

本来なら、事故現場にブラックジャックが到着した時に
その特異な姿から「まさかブラックジャックでは」と周囲がざわざわと噂し始め、

周りの医者や警察が
「ブラックジャックと言えば凄腕の…?
ならば、対応してもらうべきでは…」
「いや、そんなのはただの噂だ。何かあった時に責任が取れない。
それに、本物だったとしても無免許の闇医者だぞ」
的なやりとりが起こるのが自然でしょう。

その上で、ブラックジャックのことを良く知るっぽいあの警察キャラが現れて、

「こいつをずっと見てきたが、医療の腕だけは本物だ。
子供のためだ、本当はこんな事をてめえなんかに言いたくは無いが……頼んだぞ、ブラックジャック」

的なことを言えば、無免許医でもあの場面で治療が出来る理屈にはなるし、熱い場面にもなる。

いやまあ、もしかするとあの警察キャラは原作にも登場していて、この案だとキャラ変の解釈違いになるのかもしれませんが、だったら他だ。

ともかく「周りのキャラを頭が回らない人間にする事で、ブラックジャックの活躍機会を作る」以外の方法は絶対にある、という事を言いたい。

現実との交錯

途中、「現実も大概漫画か」的な感じで、政治家の行った謎行動がセリフで羅列される場面がある。
「ドリルで破壊〜」とか。
ここはマジで要らない。

さっきまで、
見知らぬ一般人が事故現場で手術し始めても、老人ホームに入っても、みんなニコニコしている、現実離れした世界線だったのに、

ここだけ現実的な出来事が入ってきて、非常にアンバランスで怖い。
そこはフィクションじゃないのか。

歌のパート、そんなに重要か?

とあるキャラ同士の再会の場面で、歌唱シーンが流れる。
物凄くアップで。
しっかりと放送される。

ここ、そんなに必要か?

物語的に重要なのは歌のタイトルだけで、
あとは歌をぼやーっと流すだけで良いのでは?

視聴者は誰もこのアーティストに興味を持っていないのだから、本当に必要がない。

あの白い髪の人の理念がよくわからない

事情は事前に色々聞いていた筈なのに、安楽死を勧めたり勧めなかったり、
患者自ら安楽死しようとするとその行動に狼狽えたり、
かと思えば最後は、事故を見て自暴自棄になったように笑ったり、
よくわかんないキャラだったな、という印象は残る。

「最終手段として安楽死は存在する」「(その顔でも)私は生きていけます」など、
セリフ一つ一つは違和感がないのに、それらを繋ぐと行動理念がよくわからないキャラに。

まあ、そもそもが情緒不安定なキャラなのかもしれないが。

全体的にダサい

演出やキャラの言動などがダサい滑ってる。
どこか一箇所、二箇所というわけではなく、全体的にダサい。

一応具体例を挙げると、
あの白い髪の人のビジュアルの雰囲気や、患者の馬の被り物、その旦那さんのセリフなど。
他にも山ほどある。

ちなみにあの謎歌唱シーンもダサい。

書きながら思い出した。
旦那さんに対して医者の卵が「大丈夫ですよ。僕の方がダメダメですよ」的な事を言う場面もマジで意味がわからなかった。

なぜそういう言葉のチョイス。
意図は何となくわかるけど、もうちょっとあっただろ。

苦悩する患者の家族に対して、こういう事を言う医者(の卵)、どうなんだ。

これは、「昔の漫画が元だから」という理由では恐らくない。
なぜなら、他のドラマを見る上でも同じ「ダサさ」を感じることがあるから。

「ダサすぎて逆に良い」とかいう、古き良きダサさというわけでもない。

滑ってる。
この表現が的確かもしれない。
うっすら滑ってるんだ。
物語の持つテーマやストーリーの筋は良いのに。

良かったところ

良かったところもある。
獅子面病の女性の魂の訴えや、
その旦那さんの「顔が好きだから」という点を尊重した点

特に後者は描き方をもうちょっとなんとか出来た気はするけど、
この手の話でありがちな「内面の美」「内面を愛せないとダメ」という着地に抗った点は良かった。
この「画一化された多様性」が持て囃される時代に、良い一石を投じる内容だったと思う。

「みんながみんなそう思える訳ないだろ」という。

ここだけ抜き取ると、この夫婦のキャラは好きなんだよな。
やっぱりセリフのセンスというか、演出がダサいだけで。
描きたいテーマは良かったと思う。

まとめ

楽しんで見ることは出来た。
ただ、気になるポイントもかなり多い。
テーマ自体は良かったのかなー。
ということは、見せ方にかなり難があったのかもしれない。

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