一話:感想
私は現代社会へのストレスに曝された結果、癒しの漫画を求めていた。
そんな時、「春のわんぱく新連載」と銘打たれた本作品に出会う。
これが私にとっての救いの一手、癒しのラストリゾートになるに違いない。わんぱく新連載なのだから。
絵柄もゆるく可愛い感じで、読むだけで和やかな気持ちにさせてくれそうだ。
カラーページの煽りには
「“ドカ食い”……それはカロリーのオーバードーズ♡
血糖値の爆アゲでしか得られない禁断の快楽が……ある⭐︎」
という不穏極まりない文章が載せられているが、
装飾しているハートマークや星マークは可愛いので、
戦略的撤退にはまだ早い。
主人公は「ドカ食い」に生きる喜びを見出している営業事務、望月美琴。
彼女の“ドカ食い力”は本物で、連載が始まって2ページ目でスーツケースみたいな弁当箱が登場する。
同僚からも「スーツケースみたいだね」とあまり聞いたことのないレスポンスをされており、彼女の食習慣は職場でもすっかり慣れ親しまれているようだ。
それを開けると登場するのは、鳥もも肉の照り焼き弁当(1775kcal)。
“てりっ……”という効果音と共に表れるのだが、
「突如職場に現れた1775kcalの肉と米の塊を、そんな可愛らしい音で表現していいのか」といういささかの疑問は残る。
どちらかと言うと某○NE PIECEばりの「ドン!!(太字)」の方が妥当な気はしないでもない。
ともかく、初っ端から1775kcalの大ボリューム。
「キャラ弁?駅弁?
違う違う
時代はスーツケース弁じゃオラ」
と言わんばかりの、気合の入った絵面に仕上がっている。
望月さんがいよいよスーツケース弁を食べようという時に、同僚からあれこれ言われるが、
その間ナニかが切れたかのようにそわそわし続ける望月さん。
その様子を見て色々な意味で心配になる読者一同(※私)だが、
そわそわしていた理由はもちろん「お腹が空いていたから」で、
少ししてから望月さんはスーツケース弁に興じ始める。
で、ここでこの鶏もも肉の照り焼き弁当のレシピが明かされるのだが、
濃縮タイプのめんつゆボトルの約半分をダッポダッポして漬けた鶏もも肉の上に、
さらにマヨをビビビビッしていくという、
驚愕の調理工程が明かされている。
なお、このレシピの紹介中に望月さんが色々と補足解説するのだが、
「高血圧まっしぐらの塩分濃度」や
「血液が塩水になりそう」など、
不穏なキーワードが鬼頭作品並みに並べられており、
「わぁ、美味しそう」だけ言わせてはくれない、非常に現実的な作りとなっている。
食後には望月さんの血糖値が上がり過ぎて「至ってしまいそうになる」描写付き。
食べた時のリアクションが性的に演出されることの多い昨今のグルメ漫画だが、
そっちの「イく」ならまだしも、ガチの意味の方でイかれると我々も非常に反応に困るので、健康面は大事にして欲しいところ。
さて、第一話はこの昼食パートだけでなく、夕食パートもあるのだが、
ここで摂取するカロリーは昼食を更に上回る。
2倍サイズの焼きそばを2個、
その数字なんと、2760kcal。
ガチモンである。
食事前には
「流石にこの量は死がちらつくけど…」というグルメ漫画とは思えない心情描写が入るが、
黒ウーロンによるカロリー相殺に活路を見出す望月さんの姿は第一話の白眉だろう。
まとめ
これだけ「死」や「疾患」を身近に感じられるグルメ漫画も中々無いので、非常に新鮮だった。
本田さんというキャラが登場した時だけ「死」がテーマになるスポーツ漫画「灼熱カバディ」を彷彿とさせる。
読んだことがない人はぜひ読んで欲しい。
ちなみに本田さんが活躍する時の効果音が「ドン!」とかじゃなくて「死」だった時は目を疑った。
と、話は少し脱線したが、私も仕事柄、夜にご飯を食べることの多い人間。
ついついドカ食いしたくなることもある。
第二話以降も共感したり心配しながら、読み進めていこうと思う。
それでは次回。
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