見せ方が上手いなぁ。
読者が「絶唱サンドバッグ」に注目したくなる空気作りというか、彼ら(というか彼)は格が違うように見えるし、
絶唱サンドバッグ以外の組が有象無象の小物に見える。
「他の組を見てないのに勝てるわけない」というくだりも、
次回以降「他の組を見てるかどうかなんて関係ない。大事なのは観客が笑っているかどうかだけだ。何より、どんな状況からでも勝ち切るからチャンピオンなんだよ」という格の高いアンサーがありそうな感じ。
そして、「よーく見てろ偽善者ども」というのもすごく良かった。
ショーハショーテンは昨今の時流を受けて、物凄く「優しい」作風でここまで来た。
登場するキャラもなんだかんだみんな見てて気持ちのいいキャラに育つし、好感度が低いぶるーたすですら結局好感度も持ち直した。
キャラがことごとく「優しい」。
要するに、なんだかんだ人を傷つけない漫才師ばかりなのだ。
結局みんな和気藹々と控え室でネタを見てるし。
しかし、そんな彼らも、絶唱サンドバッグを敵視はするし、蹴落とすための工夫やコメントはする。
そんな「偽善者」な彼らに冷や水をぶっかける感じが印象的な今回。
前回までの絶唱サンドバッグに対する他のキャラからの悪評はそんなに違和感がないものだったけど、
今回を見ると「なんか小物っぽいなこの人達」「そんな逆境をパワーでひっくり返そうとしてる絶唱サンドバッグ凄いな」と思ってしまう。
ここまでのキャラメイクをフリに使ってるのだろうか?
ショーハショーテンの「優しく配慮の行き届いた作品」だという作風すらフリに使っているのかもしれない。
だとすると凄い展開だ。
と、色々語ってきたがこれが深読みのしすぎという可能性もある。
正直「なんだかんだ主人公が勝つんだろう」と思っていただけに、次回以降が楽しみだ。
むしろ、ここから圧倒的な漫才で、周りの小細工を全て吹き飛ばして勝ち切る彼らの姿も見たくなってきた。
ただし、ある意味それは、ここまでショーハショーテンで描かれてきたお笑い論のいくつかを否定する展開でもある。
「色々頭を捻って、賞レースの勝ち方を研究してるけど、でも結局それってお客さんのことを見ずに、自分たちの順位を気にしてるだけだよね?」という。
本当にお客さんを笑わせたいのが第一なら、コンビ同士で潰し合いなんてせずに、むしろ相乗効果を狙った方が絶対に良い。
そっちの方が、お互いにウケる可能性が高まるのだから。
その上で、結果的に「自分たちが一番支持された」というのが、純粋な「面白さ」の証明でもある。
本当にお客さんファーストで面白さだけを追求するなら、主人公達は「絶唱サンドバッグ潰しのために、優しい要素を増やそう」なんてことはしなくて良かった。
目先の順位を追うためにネタの性質すら変えた主人公達に対し、
周りは一切眼中になく、「優しい漫才師」という好感度の下駄も履かなかった絶唱サンドバッグが勝ったとしたら、
まさしく完勝と言えるだろう。
コメント