「体力温存」と「故障の回避」
100mを全力で走るというのは、想像以上に体力を使う。
予選の段階で体力を使ってしまうと、
準決勝・決勝を「最善の状態」で走れるだけの体力を失う恐れがある。
陸上競技においては、タイムも大事だけど勝敗も大事。
例え10mでも流せるなら流して、その先のレースの勝率を1%でも高める狙い。
「わずか10m程度を流したところで、体力温存になるの?」と思うかもしれないが、
100mのうちの10mは、つまりは全体の10%(実際はそう単純な話では無いけど、ざっくり)。
結構デカい。
使う筈だった体力のうち5%でも10%でも決勝のレースに回せるのなら、流す意味は十分ある。
また、故障回避の目的もある。
勝ち濃厚のレースで無理して、故障のリスクを背負う必要は全くない。
「自己ベストを狙えそうな走り出し」だと選手自身が感じたなら、予選であっても全力で走る意味はあるかもしれないが、
そうでないなら流すのは有効な選択肢である。
ただし、「流す」のが有効なのは、
流しても余裕をもって勝ち上がれるほど、自身の実力が突出しているレースに限る。
流した結果、最後に複数人に追い抜かれて予選敗退……となっては全く笑えない。
まとめ
速い選手を見ていると我々は「流して欲しくない」と思ってしまうが、
速い選手ほどその先のレースを見据えているし、流しても勝てるので、積極的に流していく。
というわけで、流すことの明確な理由としては、「体力温存」と「故障の回避」のため、ということであった。
人によっては、「実力の底を見せたくない」というケースもあるかも知れない。
対人戦でもある以上、そういう駆け引きもあるだろう。
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