以下、鑑賞した感想。
なお、ここでは大きい方の男の子を「お兄ちゃん」、
小さい方の男の子を「弟」と呼ぶ事にする。
まずは、気になる箇所から。
新人捜査官のノリが流石に飛びすぎ
ああいうキャラが登場するのはわかる。
好みは分かれるだろうし、「鬱陶しいな」と思うのが八割、「でもこの場面は面白いな」と思うのが二割。
ただ、一番気になったのは異臭がする場所を掘り起こすシーン。
流石にあんなノリでやるというのは色んな意味で無い。
お兄ちゃんは、なぜ女の子のことを追いかけた?
茂みの中に女の子がいて、男の子が追いかけた場面。
……なぜ?
もちろん「事件について事情を知ってるかもしれない」もしくは「怪しい」と思った、ということなのだろうが、
事件直後に見知らぬ人なんてそれこそ山ほど来るだろうから、
お兄ちゃんはその中で怪しそうな人を見たら片っ端から追いかけてるのだろうか。
室井慎次のこともっと信用してやれよ。ていうかもっと相談しろよ
女の子がちょっとそそのかすだけで、簡単にそっちを信じる小さい方の男の子。
いやまあ、判断力の無い子供だから騙されやすいというのはわかる。
とはいえ彼は小学生レベルの判断力や感情はある筈だし、
あんなに仲良く暮らした室井慎次より、ちょっと前に知り合ったばかりのお姉ちゃんの言うことを鵜呑みにする理由はよくわからない。
しかも、とにかく誰も室井慎次に確認を取らない。
室井慎次が口下手だというのはわかる。
でもお兄ちゃんと弟は違うだろう。
特にお兄ちゃんは杏のことを怪しんでるなら、
室井慎次に事情を確認したり、弟に対して室井慎次のフォローをしてやれよ。
室井慎次も、聞かれたら答えてるんだから。
ていうか、室井慎次がお兄ちゃんと弟を殴った事なんて無いだろうから、
「室井さんが……そんな筈ないよ」って室井慎次に事情を確認しに行くのが自然だろ。
ていうか、室井慎次が「室井慎次」って書かれた看板燃やすわけないんだから、
理由を聞けよ。そこで誤解が解けるんだから。
まあ、製作陣からすると誤解が解けられると、この展開が終わってしまうからそうさせないんだろうけど。
弟の情緒がわからない
室井慎次に反発していた筈の弟が、終盤では何故かとある事ですんなり打ち解ける。
しかも、その頃には別に杏のことで室井慎次を恨んでそうな素振りもない。
これに関しても「まだ子供だから、そういうもの」と解釈しようと思えば出来るけど、流石に突飛に感じた。
というか、弟の心境がわからない。
これは、弟のキャラがおかしいわけではなく、単純に描写不足。
なぜ杏がコートをかけたのかがマジで不明
中盤、杏が家の中を密かに捜索するフェイズが始まるのだけど、
途中なぜか室井慎次のコートを取り出して掛ける場面がある。
なぜ?
「私はあなたを詮索していますよ」アピール?
子供の入学式に合わせてヤクザがランドセルを贈ってくるアレか?
しかも、勝手に掛けられたコートに対して室井慎次が反応する場面もない。
なんでや。
無反応にせよ何にせよ、そこは描かれないと不自然過ぎるだろ。
最後の「コートが燃えるシーン」をやりたいがために、何の脈絡もなく掛けたようにしか思えない。
bgm
ちょいちょい「bgmが合ってないかもな」と思う場面があった。
というか、「ここ無音でも良いのに」と思う場面もちらほら。
物語の進捗がゆるやかすぎる
前後編なので、前編で全てが解決しないことは当然わかっている。
とはいえ、具体的に解決したことといえばお兄ちゃん関連だけで、他は問題が山積み。
死体遺棄事件も、杏ちゃんも、弟関連も、室井さんの田舎暮らしも、全く解決には至っていない。
前編とは言え、もう少し進捗が欲しい。
その分、現在の室井さんが置かれている状況をじっくり理解できたと言えばそれまでだが、
もう少し前編に見せ場を盛り込むやり方もあったと思う。
と言う意味では、エンディングがその見せ場に該当するのだろうか。
確かに、あのエンディングが挟まれた事でどこか充実した感じにはなるけど。
やっぱり前編とはいえ、物語でも満足させて欲しい。
……とまあ、他にも気になるところは色々とあるが、ここからは良かった点を挙げていく。
室井さん
室井さんはビジュアルや立ち回り、価値観も含めて、やっぱり愛されるキャラだと再確認した。
気になるところは随所にあるけど、室井さんの魅力でつい見届けたくなってしまう。
やっぱり良いキャラだ。
田舎の感じ
田舎の閉塞感を描くのがやっぱり上手い。
あれ以上やり過ぎるとグロテスクになってしまうので、良い塩梅だと思う。
ギャグシーン
ギャグそのものは好みが分かれるところだと思う。
ただ、暗くなりやすい話の清涼剤としての役割はあった。
ちなみに個人的に一番好きだったのは、
新しく赴任した警官が、室井に「役所などに連絡しろ」と言われてテンパった結果、「一旦休憩しますか」的なことを言うシーン。
単純に「踊る」関連の作品を観れるのが嬉しい
「『踊る』の世界の続きがまだ観れるのか」という、歴史のある作品特有の嬉しさはある。
二作目も観るので、楽しみにしたい。
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