意味がわかると怖い話“七”
トンネル
夜中、江ノ島まで女友人とバイク2台で遊びに行きました。
詳しくは書きませんが、「出る」というトンネルがあります。
知ってる人は知ってるでしょうが、上に犬がいるところです。
ま、そこでは出なかったのですが、近くの山?も出るという話。
登ると一切の電灯も無く、真横にいるはずの友人も見えません。
危ないのでキーホルダーのライトで足元を照らしてました。
友人が怖がって、「イヤかもしれないけどさ、手つないで連れていってよ」と。
仕方ねぇなと言いつつ、自分も内心、心細かったので手を繋ぎました。
5分ほど歩いているとずーっと後ろの方から、
「なんだよ!!私を置いていかないでよ!私はライト持ってないんだよ!」
【解説】
手を繋いでいた相手は…。
あいたい
俺には、遠距離で付き合ってる彼女がいる。
プルルル…プルルル…
彼女から、電話だ。
俺『おー!どうした~?』
彼女『あ~~い~た~い~よ~!あ~~い~た~い~よ~!』
俺『俺も、会いたいよ~!』
電話の向こうでは、人が騒いでいて、救急車の音が響いている。
【解説】
彼女の「あ〜〜い〜た〜い〜よ〜!」は、
“会〜〜い〜た〜い〜よ〜!”ではなく
“あ〜〜痛〜い〜よ〜!”。
赤ちゃん
ある日、平穏な家庭に赤ちゃんが一人産まれました。
その赤ちゃんは驚いたことに、産まれたばかりですぐに言葉を発したのです。
第一声は、 「おじいちゃん」でした。おじいちゃんはひどく喜び、涙を流したそうです。
ところが次の日、おじいちゃんは命を落としてしまいました。
赤ちゃんはまた、言葉を発しました。 「おかあさん」と。
そして次の日には、おかあさんが息を引き取りました。
おとうさんは震え上がりました。どうすればいいんだろう・・悩みに悩みました。
一時は子供の命を奪う事まで考えましたが、さすがにそれは出来ませんでした。
そして、ついに赤ちゃんは言いました。「おとうさん」と。
お父さんは半狂乱になりました。
次の日、隣のおじさんが命を落としました。
【解説】
口に出した人間が次々に命を落としている。
しかし最後に口にした“おとうさん”では、隣のおじさんが命を落としている。
つまり本当のお父さんは隣のおじさんだった。
トイレ
一人暮らしの俺は、掃除が嫌いだ。
そこで、最新機能のついたトイレを部屋につけた。
そのトイレは十分ごとに水を流して洗浄してくれる優れものだ。
一つ仕事が減ったと思った。
ある日、仕事から帰ってトイレに行くと、トイレットペーパーが浮いていた。
どうやら、朝流すのを忘れたらしい。
しかし、自動洗浄機能のおかげで、匂いは消えていた。
【解説】
十分ごとに水を流すトイレに、トイレットペーパーが浮いている。
つまり、十分以内にこのトイレを利用した誰かがいる。
美術室
ある日僕は学校の美術室の掃除当番だった。
早く終わらせて帰ろうと思い急いでいたら
一枚の絵が大事そうに飾られているのを見つけた。
その絵はとても綺麗な女の人の肖像画だったが、少し不気味で目に特徴があった。
とても大きな瞳でこっちをみている気がした。
なんだか怖くなり急いで掃除を終わらせ帰った。
次の日学校は大騒ぎになっていた。例の美術室の絵が盗まれたのだ。
最後に絵を見たということで僕は美術の先生にいろいろ聞かれた。
「なるほど掃除をしてた時にはちゃんとあったんだね」
「間違いないです、あの絵は高価なものなんですか?」
「あれは 『眠りに落ちた美女』といって私の知人の画家が自分の娘
の寝顔を見て描いたものなんだ 、特に価値はない
最も画家も娘ももうこの世にいないけどね」
「そうなんですか・・・」
あの絵は結局見つからなかった。
不思議なことに泥棒が入った痕跡はなかったらしい。
【解説】
“眠りに落ちた”美女の絵のはずだが、「僕」が見た時の美女は…。
父
父の事だけどな、、、
ガーガー叫んじゃって
このくそやろう
ろれつも回らん糞だよクソ
しねってかんじだ
にげたいよ
くだらなかったのう
るすならいいのにあのクソ
たなに置き手紙が、、はぁ
すめし食っとけ 父さん
てめーは親じゃねえよフン
くるなよ 餓○しろ ガ・シ
れいたんな文だがこれ見て反省しろ
【解説】
各文章の頭を取ると、「父が○しに来る助けてくれ」となる。
一見頭文字を取ると怖い文章が現れる、定番のメッセージのようだが、
しかしこの文章の最後を取ると、「、、、て嘘だよ嘘、、安心しろ」というメッセージが現れる。
SOS信号に見せかけた、からかいの手紙だったようだ。
久しぶりの我が家
久しぶりの我が家」
我が家が見えてきた。
半年ぶりのご対面だ。
ああもう……雪がかなり積もっているな。
二月だし、雪かきしてないし当然か。
歩くと靴に雪が入ってくる。
玄関に着くのにも一苦労だ。
つららも結構屋根に付いてる。
頭に落ちたら洒落にならないから、後で落としておくか。
まあ、とりあえず
ただいま。
………。
一人暮らしは「おかえり」の言葉が無いのが難点だな。
【解説】
家に何者かが侵入していた。
つららが出来る仕組みは家の中の熱(暖房)で屋根の上の雪が溶けて、それが滴る途中で凍ったからである。
つまり、家主が不在の間、何者かが暖房をつけていたということである。
墜落事故
事件に関する重要な記録をここに公開する。
ICレコーダーによる記録である。
吹き込まれた声は基本的に可美村(かみむら)緋那(ひな)のものだけである。
彼女は警視庁の刑事であると共に、IZUMO社航空機墜落事故の唯一の生存者である
可美村貴代(たかよ)ちゃん(事故当時十三歳)の叔母でもある。
貴代ちゃんは事故の怪我によって、長らく植物人間状態と見なされていたが、
先日、意識をはっきりと回復していることが確認された。会話が出来るほどには回復していないため、
奥歯に電極を取り付け、歯を噛み合わせると電子音が鳴る仕組みでコミュニケーションを可能にした。
イエスの場合は二回、ノーの場合は一回、歯を噛み合わせてもらった。
貴代ちゃんの精神安定のため、部屋には緋那さんと貴代ちゃんの二人だけである。
カメラなども設置していない。
以下が記録である。
「こんにちは」 無音。
「私のことを覚えていますか」 二回。
「ええ、緋那おばさんですよ。少しお話をしてもいい?」 二回。
「今日はお日様が出ていますね。気持ちいいですか?」 二回。
「お外に出ます?」 一回。
「ここでいい?」 二回。
「そう。それじゃあ、ここで」 無音。
「あのね、おばさん、事故の時の話をしたいんだけど、いい?」 無音。
「駄目?」 やや後、二回。
「駄目なの?」 一回。
「いいの?」 二回。
「それじゃ、聞きますね。貴代ちゃんは旅行の帰りだったんですね」 二回。
「空港を出た時は何も異常はありませんでしたか」 二回。
「他の乗客の人たちは普通でしたか?」 二回。
「飛んでいる最中に何かが起こったのですね」 四回、間断なく。
「それはYESということ?」 三回。
「つらい? この話、やめましょうか?」 しばし後、一回。
「続けられる?」 二回。
「じゃあ、もう少し頑張ってくださいね」 二回。
「事故の前、飛行機は揺れましたか?」 二回。
「恐かった?」 やや後、一回。
「その時には、もう落ちると思いましたか?」 一回。
「大したことはないと思ったんですね」 二回。
「揺れはだんだん酷くなりましたか?」 やや後、一回。
「しばらく小さな揺れが続いたんですか?」 一回。
「それは、つまり……揺れが一度止まった?」 二回。
「その後、また揺れましたか?」 二回。
「その後、落ちたのですか?」 二回。
「辛い事ばかり聞いてごめんね。恐かったでしょう?」 二回。
「今日はこれぐらいにしておく? 疲れたでしょう?」 一回。
「まだ話せる?」 二回。
「それじゃあ、もう少し聞いていい?」 二回。
「揺れている以外に、何か異常はありましたか?」 しばし後、二回。
「それじゃあ」 可美村緋那さんの言葉の途中で、三回。
「どうしたの?」 三回。
「顎が疲れちゃった?」 五回。
「震えてるの?」 四回。
「貴代ちゃん、だいじょうぶ?」 六回。間を挟んですぐに五回。
「少し落ち着くまで待ちますね」 三回。
しばし休憩。その最中にも、数回。
「もう大丈夫?」 二回。
「さっきの話の続きね。何か揺れ以外の異常があったのですか?」 二回。
「エンジン音とかが変だったのですか?」 一回。
「何か爆発音が聞こえたとか?」 一回。
「窓から何かが見えました?」 二回。
「それは何か硬そうなものがぶつかったのが見えたということでしょうか」 一回。
「もしかして、それは墜落の直接の原因じゃないと思いますか?」 一回。
「窓から見えたものが墜落の原因ですか?」 一回。
「それは」
可美村緋那の言葉の最中、何度も続けて。(回数不明)
「貴代ちゃん、だいじょうぶ? 恐いの?」 連続。
「もう大丈夫だから、怖がらなくてもいいんですよ。ここは病院だから、落ちたりしませんよ」 七回。
「さあ、落ち着いて」 五回。
しばし後、回復。
「貴代ちゃん、だいじょうぶ?」 二回。
「続けられますか?」 二回。
「何が見えたんですか?」 無音。
「ああ、ごめんね。そこから見えたのは、ええと、他の飛行機か何かですか?」 一回。
「少し質問を変えますね。貴代ちゃんの席は窓際でしたか?」 二回。
「窓からは飛行機の羽も良く見えたんですか?」 二回。
「羽に何か異常があったんですか?」 やや後、二回。
「羽が壊れてた?」 やや後、二回。
「だから飛行機は落ちたのかしら?」 しばし待つも、無音。
「羽が壊れて落ちたわけじゃないの?」 一回。
「羽が壊れて落ちたのね」 二回。
「なんで壊れたのか、わかりますか?」 二回。
「何かがぶつかったの?」 一回。
「勝手に壊れた?」 一回。
「誰かが壊した?」 二回。
「誰かが、そこにいたの?」 二回。
「それで」 言葉の最中、小刻みに何度も。
しばし質問の声もなく、音だけが続く。
「いい?」
一回、一回、一回と、間を挟んで。収まるまで待つ。
「その誰かは、羽だけにいたのですか?」 一回。
「一人じゃなかったんですか」 二回。
「たくさん?」 二回。
「いろんな所を壊していた?」 二回。
「窓は」 二回。
「それは窓を壊して入ってきたということ?」 二回。
「その何かは、乗客に酷いことをしたのですか?」 二回。
「貴代ちゃんの傷も、その何かのせい?」 何度も。
「傷口から唾液が」 何度も。
「牙が生えてた?」 何度も。
「ぬめぬめしてた?」 何度も。
「目が真っ黒で、葡萄みたいに小さくて、びっしりと」 何度も。
「子供みたいに小さい」 何度も。
「手が、ううん、足? たくさん生えてて、這い回るみたいに」 何度も。
「変な声で、何かを擦ったみたいな声で」 何度も。
「すごく小さな穴や隙間から、ずりずりって出てきて」 何度も。
「身体に張り付いてきて」 何度も。
「登ってきて」 何度も。
「噛みついて」 電子音は以降、一切鳴らなくなる。
「食べられ」
「痛い」
「助けて」
以上が記録された二人のやり取りである。
後半、何かをこするような音や、ピタピタと吸盤の張り付くような音、引きずるような音などが入り乱れたが、詳細は不明。
可美村緋那の声が、後半震えていたことと、何らかの関係があるのかも不明。
この記録は、「桜美赤十字病院女性2名惨○事件」の重要参考物件として県警に保管されている。
この事件の真相は未だ謎に包まれたままである。
【解説】
面会中の二人が“何か”に襲撃された事件。
問題はこの“何か”が密室のどこから現れたのか、だが
“すごく小さな穴や隙間からずりずりって出てきて”という文章から、
唯一生き残った貴代ちゃんの身体の傷口等に寄生していたものと思われる。
そして「傷口から唾液が」辺りからその“何か”が姿をあらわしており、
それ以降の言葉は全て、質問ではなく緋那さんが“何か”を見て発した実況となっている。
階段
あるところに5人の大学生がいました。
彼らは1999年の大晦日にシンガポールに旅行に来てました。
そして運よく100階建の最上階つまり100階の部屋に泊まれることになりました。
大晦日の日彼らはシンガポールのそのホテルにチェツクインして、荷物をおいて、街にあそびに行こうとし、ロビーを通った時にフロントの人に、
「今夜、2000年問題が起こるかもしれないので、12時ちょうどに、ホテル内すべての電気を消します。だからそれまでには帰ってきてくださいね。」と言われた。
…しかし彼らは遊びに夢中になりその約束をすっかり忘れて12時をすぎてしまいました。
フロントも真っ暗でエレベーターも止まっている。
寒すぎてこのままフロントで寝泊まることもできない。
仕方なく彼らは100階の部屋まで階段で100階の部屋まで行くことにした。
20階…30階…40階…とだんだんと足が棒になってきて、50階でついにばててしまいました。
「オイ、このまま上がっていくと、本当に足が動かなくなる、1階上がる毎に交代で怖い話しをして気を紛らわそう」と一人の人が言った。
そして1階上がるごとに怖い話しをして、なんとか上にあがっていった。
そしてついに99階にたどりつくことが出来ました。
すると最後の一人が
「いいか、俺が今から言う話しは…本当に怖いからな、絶対にビビルなよ」
と他の3人に強く言った。
(どんな話しだろう…)と仲間達は息を飲んだ。
そして、彼はいった。
「一階に…鍵を忘れた…」
【解説】
“一階に鍵を忘れたのに、ここまで上がってきてしまった”というコメディ的なオチ…
かと思いきや、よくよく人数を数えると語り手含め4人しかいない。
5人で泊まるはずの彼ら、残りの一人は一体どこに…。
ミス
前の会社で2億の機械を俺のミスでぶっ壊した時
社長はショックで声がでなくなりながらも振り絞るように
「君に怪我がなくてよかった。機械はまた買えばいい」 と言ってくれた
その時、俺はこの社長に一生ついて行くと決意した
【解説】
“一生ついて行くと決意した”にも関わらず、最初の一文曰く“前の会社”での出来事。
ついて行くのをやめたのか、やはりミスは許されなかったのか。
幽霊トンネル
俺は車で幽霊トンネルにいった。
かなり長いトンネルで半分くらい進んで、
いったん車を止めて幽霊が現れるのを待っていた。
しかしいくら待っても幽霊は現れなかった。
雨が降ってきたのでトンネルを出ることにした。
【解説】
かなり長いトンネルの半分くらいの位置にも関わらず、雨が降ってくるという怪異。
食べたもの
何を食べるの?と聞くとその子はいつも数字で答える
興味が沸いた私はその子を引き取った
肉を食わせると18、野菜は24と答えた
意味が分からなかった私はその子を家に帰した
後日その家を訪ねると、その子が出てきたので「何を食べたの?」と聞くと64と答えた
【解説】
それぞれ数字の掛け算を表している。
にく(2×9)を食べたら18、やさい(8×3または8×3×1)を食べたら24、
そして64と答えた今回は、8×8。
つまりパパ(8×8)である。
無人島
ある無人島に6人の女と1人の男が流れ着いた。
最初こそ協力して生活していたものの、若い女たちは夜な夜な男を求めるようになった。
1日交代制で男の休みは日曜のみで、疲労の色は増した。
そんなある日、島に一人の男が流れ着いた。
「助かった、これで休みが増えるぞ!」
男の休みはなくなった。
【解説】
流れ着いた男性も、元からいた男を求めるようになったため、日曜の休みも消えた。
テープレコーダー
男が書斎で、銃で撃たれて○んでいるのが見つかった。
男は机に突っ伏しており、手には銃が握られていた。
机の上にはテープレコーダーがあった。
刑事が再生ボタンを押すと、
「私はもう生きていけない、私には生きる理由が何もない」
というメッセージが聞こえ、続いて銃声が鳴り響くのが聞こえてきた。
刑事はこれを聞いて、彼は自○したのではなく○されたのだと確信した。
【解説】
テープレコーダーを再生した際、最初から再生されている。
つまり、テープレコーダーを巻き戻した誰かがいる。
悪魔との契約
男は3ヶ月前、息子を轢き逃げで亡くしていた。
妻に先立たれ、男手一つで育ててきた息子だけが生き甲斐だった男は、犯人を○したいほど憎んでいた。
犯人は捕まったが、これでは容易に復讐も出来なくなってしまった。
ある日、男は古本屋で【悪魔召喚】と書かれた一冊の本を手に入れた。
こんなモノを信じてはいなかったが、何も出来ない自分が許せなかった男は“悪魔”を呼び出してみる事にした。
見事、悪魔は現われた。
悪魔「…お前の望みはなんだ?」
男「息子を○した奴に復讐がしたい!○してやりたい!」
悪魔「…前払いで“お前の死”を報酬として貰うが良いか?」
息子を失った男は、自分の命など惜しくはなかった。
男「ああ…それで構わない…」
悪魔「…ならば契約成立だ」
数日後、轢き逃げ犯が謎の死を遂げたと聞いた男は、悪魔との契約の事を思い出した。
男「前払いで“私の死”ではなかったのか?だが私は生きている…。奴は悪魔に○されたわけではないのか?あの悪魔は嘘を吐いたのか?」
そんな疑問を抱え数日が過ぎた頃、再び男の前に悪魔は現れた。
悪魔「…契約は果たした…さらばだ…」
男「待ってくれ!あんたは“私の死”を報酬にしたはずだ!…なのに、何故私は生きている!?」
悪魔「…たしかに報酬は“お前の死”だ、勿論きちんと頂いた」
悪魔は笑いながら、最後の言葉を残して消えた。
【解説】
“死”を持っていかれた。
つまり死ねなくなった。
スピード違反
スピード違反を取り締まっていた巡査は、やたら速度の遅いクルマを発見し、かえって危険なため停止させた。
中には80歳くらいの女性が5人乗っていたが、運転していた老婆以外は、みな目を見開き、真っ青な顔色をしていた。
運転席の老婆は、不思議そうに尋ねた。
「お巡りさん、あたしはいつも標識どおりの速度で走ってますよ。今だって標識どおりの21キロで走ってたんですから」
巡査は事情を理解し、微笑みながら言った。
「お婆さん、あの標識の“21”というのは国道21号線という意味ですよ」
その言葉を聞き、老婆は恥ずかしそうに答えた。
「あれま、そうでしたか。それは失礼しました」
巡査は老婆に運転に気を付けるように言ってから、一つ気になっていることを口にした。
「なぜほかの4人の方々はさっきから一言も喋らないのですか?何だか全員放心状態のように見えますが」
すると運転席の老婆が答えた。
「さっきまで、みんなで楽しくお喋りしてたんですけどね。国道258号線に入るまでは」
【解説】
258キロを出していた。
かくれんぼ
「もうすぐご出棺なんだからじっとしてなさい!」
おじいちゃんのお葬式が退屈だったから
同い年ぐらいの親戚の子たちとかくれんぼしてたら
お母さんにひどく怒られた。
親戚の子と言っても大勢いて
何回か会った子もいたけど全然知らない子もいた。
他の子も怒られてる。
みんなでしゅんとしてたらバスがやってきた。
「うちは兄弟だけで10人もいる大家族だからね。バスで火葬場までいくんだよ」
ってお母さんは言う。また怒られるといやだから素直にバスに乗った。
一人だけバスに乗らないおばさんがいる。
なんかあわてたように誰かの名前呼びながらそこら中走り回ってた。
でもバスは出発しちゃった。
お葬式っていっつもこんななのかなぁ?
僕らにはじっとしてろと言うくせに
大人は大騒ぎするから嫌いだ。
なんでお葬式にでただけなのにお巡りさんにいろいろ聞かれるんだろう。
火葬になったおじいちゃんの遺骨が2人分あったとか、
そんなことボクに言われても分けわかんないよ。
【解説】
親戚の子の一人が棺桶に“かくれんぼ”したまま出棺してしまった。
3人の妻
ある男女がワインを飲みながら暖炉の前でくつろいでいた。
すると、男が突然泣き始めた。
「ああ、僕はこんなに幸せでいいのだろうか。僕は今までに3人の妻を亡くしているのに」
女は男の傍に行き、男を慰めた。
「大丈夫よ。あなたには幸せになる権利があるもの。でも、奥様はどうして亡くなられたの?」
男は泣きながら女の言葉に答えた。
「最初の妻は、心臓発作で。二人目の妻も心臓発作で亡くなったんだ」
「お気の毒に……じゃぁ、三人目の奥様も心臓発作で?」
男は涙を拭いながら言った。
「いや、階段から落ちて首の骨を折ったんだ」
女は言った。
「まぁ……お酒に酔って?」
男は言った。
「いいや、彼女だけは酒が飲めなかったんだ」
【解説】
三人の妻が亡くなった原因には男が絡んでいる。
二人の妻に対してはお酒に毒を盛り、お酒が飲めない妻は階段から落ちるように細工した。
現在男と一緒に“ワイン”を飲んでいる女も危ない。
テレビ
風呂上がりに、テレビでも見ながら髪を乾かそうかと
思ってドライヤーを持って部屋へ行ってテレビをつける。
いきなり怖い女の人の顔どアップ。怖い話の特集かな。
なんか色がおかしいけど、まあリサイクルショップで
安くで買った古いテレビだからしょうがないか。
などと思いつつドライヤーをオンにしたらいきなり
電気がバツン!と切れて真っ暗になった。
あっちゃ、クーラー入れたままドライヤーは無理があったか
と思いつつ、テレビの光を頼りにブレーカーの所に行ったら
やっぱりブレーカーが落ちてやがった。
【解説】
ブレーカーが落ちている場合、全ての電化製品の電源は落ちているはず。にも関わらず、「テレビの光を頼りに」ということは、なぜかテレビだけは点いていることになる。
その不思議なテレビはなんらかのいわくつきの物だったのだろうか。
女の人の顔がテレビ番組の特集なんかじゃなくテレビに宿る怨念だったのかもしれない。
壁
ニュースを見ていると、友人の家が映った。
何があったのかと思うと、壁の中から少女の遺体が出てきたらしい。
すぐに友人に電話して事情を聞いてみた。
友人は既に引っ越していて、もうその家には住んでないらしい。
「んで、お前が住んでたあの家、壁の中から遺体が出てきたらしいぜ。」
「え、マジかよ。」
「今の住人がリフォームしようとして、見つけたんだと。」
「うわぁ……怖ぇな……」
「怖いよな。○して壁に埋めるって、正気の沙汰じゃないもんな。」
「いや、その子も可哀想だけど、オレ何も気づかずその家に住んでたんだぜ。」
「確かにそうだな。」
「それが怖ぇよ。考えるとゾッとしてきたわ……」
確かに、自分の家に遺体が埋まってるとか、考えただけでもゾッとする。 友人にとっては自分の身に起きたことだ。しばらく辛いだろうな……
【解説】
友人は壁の中に埋まっていた一連のことを何も知らない。
にも関わらず、「その子も可哀想だけど〜」と話している。
一体なぜ埋まっていたのが“子供”だとわかったのだろうか。
友人が壁に埋めた、もしくはその事件に関わっていると考えられる。
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