「子供読者やライト層に嫌われるやろなぁ」的キャラを応援したくなるワイにとって、
全生師匠は元々好意的に見ているキャラだった。
ただ、今回全生師匠の落語を見て、さらに彼を応援したくなった。
作中でも最推しかも知れん。
一番良かったのは、「憎き阿良川まいけるの映像まで見て研究した」という場面。
これぞプロ、これぞ大看板。
例え嫌いな相手でも、認めるところは認めて、むしろ吸収しようとする「ある種の器の大きさ」がうかがえる。
だからこそ大看板まで登り詰めたのだろう。
そして、
全生がどんな意図を持ってあらゆる演技をしたとしても、
全てが「喜劇」になる究極のワンパターン。
まさしく喜劇王の名に相応しい。
全てが笑いに結びつく、
まさしく芸人の鑑ではないだろうか。
そして、全生本人は一所懸命というのも推しポイント。
イメージしやすいところで言えば、いわば狩野英孝的な感じなのだろう。
「自分は本気で○○をしているのに、周囲からは面白く見えてしまう」。
これは努力では培うことができない、天性である。
全生師匠には笑いの神が憑いている。
まあ、本人の意図は全く上手くいっておらず、
彼にとってこれが幸せな状況なのかはわからないのだが。
とはいえ、もし全生がこの状況を「何言っても面白く受け取られるのは、なんだかんだオイシイかもな……?」と思うような人間だったら、
周囲はそのあざとさを見抜き、ここまでウケていないはず。
つまりは、落語の「ネタ」というよりも(※もちろん落語も凄いのだが)、「全生」というキャラが魅力的だからウケてる。
読者である私も、
ウケているのに「思うようにいかない!」と苦悩する全生を見て魅力的に思ってしまった。
本気だからこそ可愛げがある。
また、「自分が狙った笑いの取り方を出来ていないのに、大看板になるくらいの結果を出せてしまっている」という特異な存在というのも魅力的だ。
「客席のコントロール」スキルは作中最低とすら言える。
……のだが、結果的に皆笑うのだから良し、なのだ。
「終わりよければ全て良し」の究極系というか、
ニンと才能をベースに本人の努力が積み重なり、
この特異な状況が生まれている。
あと、全生師匠はずっと他人に嫉妬したり、どんな若手相手でも敵視したり、自分の高座に納得いってなかったり、ライバルの高座を学ぼうとしたり、
この人実はめちゃくちゃストイックなのではなかろうか。
自分の確立した地位に全くあぐらをかいていない。
余談だが、今回全生のネタに対し、あかねが初見のようなリアクションを続けていたのが気になった。
全生お披露目回という都合上、そうなるのもわかるが、
「やっぱり、ビデオで見てた通り────登場人物が全員、全生に見える……!」みたいな、
あかねがあらかじめ全生のネタも鑑賞していたような心情描写は要るように感じた。
トップ層にいる全生ですら、いわば格下であるまいけるのネタを研究するくらいなのだから。
……とまあ、あかね噺の中でもかなり特異なスタイルを持つ全生。
まあ、一生師匠にきっちり負ける展開が濃厚だが、
「なんか全生のこと応援したくなったかも」という読者が間違いなく増えた回だと思う。


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