【ネタバレ注意】「落下の解剖学」を鑑賞した感想

感想

「結局、答えは!?」ってなるタイプの映画。

鑑賞中、与えられるセンセーショナルな情報に私たち観客は振り回されます。
浮気、アイデアパクリ疑惑、病気、視力、激しい夫婦喧嘩……

私は普段そういった週刊誌的な楽しみ方を忌避している人間なのですが、
人のことを言えないな、となりました。

そして、終盤。
「さあ、いつどんでん返しがくるんだ!」と、恐らく多くの観客は身構えた筈です。

車の中で打ち明けるのか?
このパーティで、弁護士にだけ言うのか?
息子との会話で、何か言ってしまうのか?
最後、ソファで一人呟くのか?
犬が何か決定的な証拠を持ってくるのか?

……

……

……どんでん返し、無し!!!!!!
というタイプのどんでん返し。

まあ、作中で示された通り「決定的な証拠がない状況での二者択一は、自分が考えて決めるしかない」わけで。
それを我々観客も身をもって思い知ったわけです。

決定的な証拠が無い以上、真実はわからず。
あとは観客がそれぞれ「やっぱり犯人だろ!」「いやいや、そう思わせて…」と、意見を持ったり議論を交わしたりするのみ。

むしろ、ここで「犯人なんじゃないか、どんでん返しがあるんじゃないか」とスペクタクルを求めてしまう自分の精神性に目を向けるいいきっかけになりました。
こういう野次馬国民のせいで、事件の当事者たちは苦しめられるのでしょう。

最優秀演技賞は“犬”です。
凄い演技。

映画ファンが一番嫌がる展開って、
子供が死ぬ場面でもなく、
大量に人が死ぬ場面でもなく、
「犬が死ぬシーン」だと思うんですよ。

恐らく制作側もそれを意図して、このシーンを「見せ場」として持ってきたのではないでしょうか。

結果的に、下手なアクションシーンよりずっと手に汗握る場面となりました。

最後、犬が母の元にやってきた時の「あ、そうなんや」感。
意外とここがツーショット初めてよね。

でも、本来そんなことはあり得ない。
母と犬は一緒に暮らしていたわけですから。
このショットに新鮮さを覚えるのはおかしい。

何がおかしい?
我々観客の感じ方が、です。

我々観客は、一連の事件とこの家族を「切り取り」でしか見れていなかった証拠。
2時間半見てきて、まだ「知らない事実」が出てくる。
しかし、そんなことに気が付かないほど、我々は「緊迫の推理・法廷ショー」に熱中していた。

さて、色々言ってきましたが、
もし私が裁判官だったら、どのような判断をするか考えたいと思います。
要は、彼女はシロかクロか。

シロです!

疑わしきは罰せず。
決定的証拠はついに出ることはなかった。
状況証拠も、彼女のクロを完全に示すものはなかった。
これが全てです。

怪しい箇所は無数にある。

最後、息子のダニエルくんをがっつり抱っこして階段を登っていく様子を見ると、
成人男性を持ち上げて突き落とすことも不可能ではないように思うし。

不可解な傷を隠すため嘘をついたり。

自分に好意を寄せている弁護士の感情を利用しているかのようにも見える。

ただ、やはり決定的証拠が無い。
だから、彼女はクロでは無いんです。
これが私の出した結論。

以上です。
ありがとうございました。

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